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他の論文に引用された回数は学術論文の質の高さの指標だが、「トップ10%論文」とは各分野での引用回数が上位10%に入る論文をいう。その国別論文数で日本はインドに抜かれ、世界10位に転落しているという。8月に文部科学省が発表した報告によると、日本はトップの中国のわずか1割程度、主要7カ国(G7)中でも最低だった。しかも2000年代半ばの4位から低落の一途をたどってきた。日本の研究力低下は目を覆うものがある。まだ日本のコンピューター科学が発展途上だった1950年代から60年代、地球環境のシミュレーションを目指して若き地球物理学者たちが海外へ渡った。その一人、米国籍となった真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さんが今年のノーベル物理学賞に輝いた。真鍋さんは地球の大気をシミュレートした気候モデルを60年代に作成し、地球温暖化のメカニズムを示した。さらに大気と海洋の熱のやり取りを組み込み、北半球の高緯度地域の温暖化が激しいとの今日に通じる知見を明らかにした。もちろん地球温暖化の深刻さに注目する人のいなかった時代である。真鍋さんは米国の恩師に与えられた研究環境を「天国」と回想している。現代の地球温暖化危機に立ち向かう人類の知的ツールは、その研究の天国で生み出された。日本の研究力低下の背景には、海外留学の減少といった内向きの姿勢や、目先の成果優先の研究支援体制がよく指摘される。地…

