Show notes
Q:過去に同チェーンで店長経験があるということで新たに店長を採用したのですが、期待とは裏腹に動きが悪く、お客さまからのクレームが多発しています。このままでは信頼にも大きく影響してしまうので対処したいのですが、この店長に対してはどうすればよいでしょうか。
A:業務内容の明示や能力不足の判断基準はありますか?それらがない状態で最もやってはいけないことは、すぐに給与を下げたり、解雇をしたりすることです。まずはその店長と一度、現状と今後について話をしてみましょう。
こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/
<解説>
まず、こういうときに最もやってはいけないことは、次のようなことです。
①一方的に給与の額を下げる
就業ルールをまとめた「就業規則」がある場合で、そこに減給に関する定めがあれば、原則はそちらに従い対応を進めていくことになりますが、一方的に行うというのは、最もトラブルになりやすいため、注意が必要です。
②一方的に解雇する
例えば、このスタッフが店長経験ゼロなのに「5年以上ある」といって自分の経歴を大きく詐称して入社し、能力も伴わなかった場合は、事実を確認したうえで、懲戒解雇が有効となることもあります。しかし、スタッフは「労働基準法」や「労働契約法」などで守られている部分があるため、事実確認などをしないで一方的に辞めさせることはできないのです。
こうした対応のことを「労働条件の不利益変更」と言います。この不利益変更は、一部の有事の際を除き、経営者の独断で行うことはできません。
では、こうした場合にはどのように対応すればいいのでしょうか。
また、重要な内容は書面で通知することも大切です。店長という重大な役割を任せるにあたり、オーナーから店長に期待することや任せる業務を明確にし、雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則など書面と口頭で伝えます。その上で実際の動きを見ることではじめて、現状で何が不足しているのかが客観的にわかるようになりますし、店舗側もしっかりとスタッフに明示した、という証拠になります。
また、仮に、お客さまからクレームが発生したとして、その原因が鮮度確認漏れやレジ誤差など店舗側にある場合、店長に対して一方的に注意するだけでなく、再び同じミスを起こさないよう、発生内容と対策を書面でまとめておくことも重要です。その理由は、どれだけ店舗でクレームが発生したかを客観的に理解できる、というのはもちろん、店長の改善への意識がどれだけあるか、を計る指標の一つにもなるからです。例えば報告書が1ヶ月で5枚以上出ることが3ヶ月も続くと、改善への意識、あるいは能力があるのかどうかを判断する一つの証拠になりますが、何もなければ、店長が本当に能力不足なのか、ということすら証明できないでしょう。
最初に述べた不利益変更も含めて、法律に基づいた処遇を行う場合は、先の同意や公平なヒアリングに加え、こうした書面や記録の積み重ねがとても大切なのです。
もちろん、これらは、適法に減額する、解雇するという趣旨のものではなく、本来は一度採用をしたスタッフに最大限の動きをしてもらえるようにする、という意味で有効な手法です。最大限の動きをさせられるかどうかは、実はオーナーの意識と行動に大きく左右されます。日頃からスタッフとのコミュニケーションを欠かさないようにする、接したときの小さな違和感を見逃さない、勤務上のルールや役割の責任範囲はしっかりと明確にする、など、スタッフへの歩み寄りが、的確な労務管理につながるのは言うまでもありません。

